001


■ 最初に揃える道具とその予算は?

最低限用意したい道具は
  • 平ノミ( 30mm) 12,000円位
  • 平ノミ( 60mm) 24,000円位
  • 角ノミ( 20mm) 15,000円位
  • ノ コ(450mm) 18,000円位
  があれば彫刻が始められると思います。合計7万円位。
      高いと思うかどうかはさておいて、手じゃ彫れないし人の道具じゃ具合がわるいし・・・・・

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002


■ 氷彫刻用の1本氷の規格サイズは?

氷彫刻用として特別なものがあるわけじゃなく一般的に透明氷と言っていますが、水産氷に対して陸氷とも言います。 高さ100cm、幅55cm、奥行き、25cm、重さ135kg
価格は地域・業者、又配達の状況等によっても違いますが、7000円〜9000円程度。

又、練習用としてなら水産用の白氷を使ってみるのも良いかもしれません。値段もかなり安く手に入ると思いますが奥行きがちょっと薄くなります。

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003


■ 1本氷が出来るのにどれくらいかかる?

現在の製氷缶の大きさでは品質・生産性など色々の面から48時間という時間がベストだそうです。

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004


■ 氷が直射日光に当たるとボロボロになるのは?

氷の結晶と結晶の間の組織が直射日光、特に紫外線の影響で壊され六角の柱状のスジとなって氷をボロボロの状態にするそうです。
そういえば夏のある日、山の上にある会場で10本氷の彫刻をした時は見る見るうちに氷にス(ボロボロになた状態)が入ってしまい、差込どころか仕上げすら出来ないような状態になって大変な思いをしました。やはり山の上は紫外線が強いんですかね。

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005


■ 夏場、冷凍庫から氷を出したらパキパキという音がして内部にヒビが入った。

氷と外気の温度差が大きすぎるとヒビが入る場合があります。作業に入る前に5℃位の冷蔵庫で養生するか外気を遮断するような毛布等をかけてしばらく時間を置く必要があります。
又、彫刻をしたものでも氷の厚みが結構あるような作品は冷凍庫から温度差の高い外へ出す場合は同じように直接外気に触れないようにビニール袋でもかぶせておいた方が無難です。
しかし見た目は悪くなりますが、そのヒビが彫刻の倒壊につながるようなことにはならないと思います。
又、彫るときにもそうですが中心温度の低い状態の氷の場合は、ノコとかチェーンソーを入れたりした時にそのショックでヒビが入る場合があります。こうした時は風などが当たらないようにビニールなどをかけてしばらく放置したほうがいいでしょう。

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006


■ 芯ナシの透明氷は出来るの?

出来ます。

しかし製氷の方法が違い、氷缶を横にした状態で作るそうです。その結果写真では分かりづらいですが立てた状態の氷の裏側に当たる面はくぼみが出来ています。

※この写真の氷は東京の「やまね」さんへ注文したものです。

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007


■ 氷同士を接着するには?

色々な状況がありますが、まず北海道などでの氷点下での作業でしたら水をかけてやれば簡単に接着できます。
次に夏場での屋外の作業中で、折れた状況にも依りますが接着する側の方が比較的小さいものでしたらライター用のガスボンベで接着できます。(複雑骨折?の場合は多少手間取るかと思いますが・・・。雪などで補完してやれば復元できるかも)
※ 又、ドライアイスという手もありますね。

冷凍庫が近くにある場合などは、折れた断面がきれいであればそのままくっつけて、水を少々かけて冷凍すれば大丈夫です。
でも、折れたもの同士が大きくて接着するにはあまりにも不安定な場合は、あきらめて他の対処をした方がいいでしょう。(デッサンを変えるとか)

 ※ 追加情報

アルミ板を使った接着の方法があります。二つの氷の接着する面を多少温めたアルミ板を押し当ててフラットにした上で張り合わせると、氷自体がかなりの大きさのものでも接着する事が出来ます。一方の氷は多少冷凍庫で締めておいた方が更に効果的です。
アルミ板といっても厚さが1cm程あるのですが・・・・・お互いの氷同士の間に隙間がないということが強力な接着力を生むのでしょうね。
これを使うと、平ノミではかなり技術を要した面積の広い平面カットが簡単に出来て、ガラスのようなクリスタルな表情が出ます。 

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008


■ 氷を切る時どうしても曲がってしまう

自分ではまっすぐ切っているつもりでも、手前と向こうが均等に切れず、曲がって切れていく場合は、ノコの目立てが左右均等になっていない場合が多いと思います。目立ては素人では難しいと思いますので、専門のお店に出される方がいいと思います。又幅のある氷を薄割にする場合は手前側と向こう側と両方から交互に切っていくのがベターです。

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009


■ 氷彫刻は冷凍庫でどの位もつのか?

一年とか長い期間保存した経験はありませんが、3ヶ月程度だったら十分に大丈夫です。しかしその場合、ビニール袋等ををかぶせておく方がいいと思います。強制対流式の冷凍庫ではどうしても角のほうが丸く溶けていくみたいです。

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010


■ 彫刻した氷の作品は展示してどの位もつのか?

色々な状況があるとは思いますが・・・
まず、屋内での宴会場などでの展示でしたら3〜4時間は充分にもちます。(作品にもよりますが、もっと長くもちこたえる場合もあります)
出来るだけ長くもたせようと思うのであれば、展示前に冷凍庫で一昼夜しめてから出すとか、セッティングをした後開宴までの間、ビニール袋など適当なもので覆っておくとかすればよいと思います。 風が一番の大敵です。
屋外の場合は気温、風、作品の大きさなどによって大きく左右されやすく、その日の状況に応じた対策を考えて設置しなければならないでしょう。
しかし、なんと言っても氷彫刻の魅力の一つは溶けていく過程にあるともいえます。

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011


■ 彫刻をする前に氷にデッサンを描くのですか?

平ノミと角ノミを使って氷の表面にデッサンを描きます。
まず平ノミの角を使っておおまかなデザインを描き、イメージ通りのものが描けたら角ノミでそのラインを決定します。角ノミもあまり深く掘り込まないように。12mmくらいのものですぐに溶けて消えない程度の深さで十分です。あまり深く掘り込みすぎると、後で修正を加えるときに線がダブってやりずらくなります。
北海道など氷点下の環境では油性のマジックで氷の表面に描くことが出来るのでこれもなかなかいい方法だと思います。

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012


■ 角ノミの裏面はどうやって砥ぐの?

角ノミの角度に合った三角形の砥石もあることはあるのですが、特別それを使わなくても、まず刃の方を砥いだ後に裏面の刃のかえりをナイフのみね等で軽く擦ってやればいいと思います。経験上裏面はあまり砥石などをあてないほうがいいのじゃないかと思います。それくらいで十分に切れます。

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013


■ 紙に描いたデッサンをどうしても氷の上に正確に写せない。

慣れないうちはどうしてもそうなるみたいですね。
一つの原因は紙の上のデッサンと氷を目の前にしてのデッサンが視野の中に入るか入らないかの点で違うと言うことです。
例えばスケールを使わないで、目測で1本氷に横のラインを三等分でも四等分でもいいから入れてみてください。実際測ってみると下の方に行くほど間隔が広くなっているのが普通です。
これは氷にデッサンを描くときの自分の目線が氷の上の方にあるのに、その状態で上の方の間隔をそのまま下のほうへコピーすると目の錯覚で本来より広くとってしまいます。
まずこれが失敗の一つの原因だと思います。
もう一つは氷の上に線を描くこと自体がなかなか難しいということです。紙の大きさより広い氷の上に描くのですから、一見そうでもなさそうですが、そこは経験してみないと分からないということでしょうか。
そこで解決策ですが、まずは紙のデッサンにも氷にも縦方向に四分割、横方向に二分割くらいの目安の線を引いてそれを基準にしてデッサンを描いていくというのがいいみたいです。又最初から角ノミで線を入れるというような恐ろしいことはしないで、まずは平ノミの角で軽いタッチの線を入れ次に目線を氷から離して全体的にこれでいいということになれば、角ノミで決定ラインを入れるというふうにしたほうがいいと思います。
最初のデッサンが悪ければ、仕上がりは当然それ以上に悪い。

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014


■ チェーンソーのカッター部分のツメは取った方がよく切れると聞きましたが

確かにツメ(本来の呼び名はデプスゲージと云うそうです)を取った方がよく切れるように感じますが、実際は刃の食い込みが深くなっている状態でそう感じるのだと思います。例えばカンナの刃を深く出した時は木材に深く食い込むのと同じ原理で、ツメの高さをカッターの先端より低くすれば切る対象物に深く食い込むということになります。だから本当はよく切れるようになるのではなく、深く食い込むようになるというのが適切な表現で、実際に切れ味はやはりカッターの刃の鋭利さが伴っていなければということですが・・・・。
ツメの取りかたは本体を固定しておいて、ヤスリかグラインダーで削ってください。
※ 又、工具を使った目立ての仕方の詳細はここ(山口商会)をご覧なってください。

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015


■ 氷彫刻の大会で心がけることは?

まず夏の大会ですが、かなりの体力とスピードが要求されます。通常1本彫りで制限時間が40分ですから、この限られた時間内に1本の氷を100%近い完成度まで持っていくには、まず頭で考えるより体が自然と動くようになるくらいまで練習を積む必要があると思います。

まず会場で氷をセットしてもらうときには必ず底面をフラットに(というか中心部分は多少えぐるような感じで)しておかないと、作業中に氷がぐらぐらして仕事になりません。また台座のビール箱などに乗せる場合でも上下に滑り止めのタオルを敷くなど準備を怠らないように。ビール箱も二つ用意してある場合は作業中にずれないよう、紐できちんと縛っておいた方がいいと思います。

最初のデッサンを描く時はあせっておざなりなものになちがちですが、後々作品の完成度に大きく影響してきますのでここはじっくり丁寧に描いておいた方がいいと思います。「急がば回れ」かな。

それと作業中は道具があちこちに散らばってしまうことが多いので、出来れば予備のノミとかノコギリを用意しておいたほうがいいと思います。道具を探す移動の時間が結構大きなロスタイムになってしまう場合があります。作業のシミュレーションを思い描いてそれぞれの場所に道具を前もって配置しておくのも一つの方法だと思います。まずいかにロスタイムを減らすかが重要なポイントと考えます。

次に彫り込む段階でのポイントですが、後々の修正を少なくするためには出来るだけデッサンに忠実に彫り込んでいく、最後に仕上げる溶けやすい部分を多少太めに残しておくのは必要ですが、その他の部分はきっちりと仕上げていくようにしないとかえって二度手間ということになりかねません。

次に粗彫りの段階ではノコを有効に使うことです。粗彫り用のノミだけでやっていくのではなくノミとノコを交互に使い分けながらするとかなりスピードアップします。

もう一つ重要なことは、ノミ又、ノコを氷に対して水平に入れるということです。大きいノコは特に下の方へ下がりがちです。ノミも(切れないノミは特に)削る方向からはずれてしまわないように。正面のデッサンと裏面のデッサンが大きく食い違ってしまうと、作品にも依りますがこれが大きなミスにつながります。

また小さなことのようですが、作業中の軍手は利き手ははずしておいた方がいいんじゃないかと思います。利き手に軍手をはめていると、ノミの柄又はノコの柄を握る感覚が甘くなり正確な道具運びが出来ませんし、又滑りやすくなって体に負担がかかるようです。

それから後半戦に入ると体力が極端に消耗してきます。ノコをひくにもノミを入れるにしても特に氷の下部を彫る場合は中腰ではなく、出来ればお尻をついて(多少パンツが濡れてもかまわないじゃないですか(^_^)!!)やると彫る姿は格好悪くはなりますがかなり楽になりますし力も入ります。(特におなかが出てる人は是非やりましょう!)

さて最後の仕上げの段階で角ノミを入れることになりますが、ここが最も重要な部分と思います。(平ノミでの面の取りかたでも同じことがいえますが)
多少の下地の出来の悪さはこのラインでカバー出来ます。それくらい角ノミのラインの入れ方によっては氷の表情が全然変わってきてしまいます。
まず勢いのあるライン、そして彫り込む深さと間隔が一定になっていること。溶けないようにとの配慮からあまりにも太いラインで入れないで、作品によっては細かなラインをたくさん入れることで仕上がりがとても繊細なものになります。
氷というクリスタルな素材の持ち味を最大限に引き出すには平ノミによる面と、角ノミによるラインでいかにその素材の持ち味をうまく表現できるかにかかっていると思います・・・・が。

     冬の大会については、また次回に続けたいと思います。

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